Dr値とは
Dr値(sound pressure level Difference)とは、壁や建具の防音・遮音性能を示す指標のことを指します。つまり、話し声や楽器の音など、空気中を伝わってくる音を、壁やドアがどのくらい遮断するのかを示す数値です。そして、等級の値が大きいほど遮音性能が高く、値が小さいほど遮音性能は低いことを表します。
音の大きさには、db(デジベル)という単位が使われており、例えば防犯ドアのDr値が65の場合は65db程度の音を遮ることができるというわけです。防音ドアを選ぶときは、自分が出す音のdb(デジベル)がどのくらいかを把握したうえで、どのドアを購入するのかを考えるといった順序を踏むと、失敗する可能性はぐんと減少します。
日本建築学会の「建築物の遮音性能基準と設計指針」によると、Dr値それぞれの遮音等級の聞こえの目安は以下の通りです。
遮音等級 | ピアノ・ステレオ等の大きな音 |
D-65 | 通常では聞こえない |
D-60 | ほとんど聞こえない |
D-55 | |
D-50 | 小さく聞こえる |
D-45 | かなり聞こえる |
D-40 | 曲がはっきり分かる |
D-35 | よく聞こえる |
D-30 | 大変よく聞こえる |
D-25 | うるさい |
D-20 | かなりうるさい |
D-15 | 大変うるさい |
また、楽器など大きな音を出すことのない集合住宅の居室の場合は、特別仕様でD-55、標準でD-50、最低限でD-40の等級を選ぶことが推奨されています。防音ドアを購入する際は、部屋の用途や周囲への音漏れを配慮し、最も最適な等級のものを選びましょう。
T値とは
T値とは、サッシやドアの遮音性能を表し、日本工業規格(JIS)が定めた基準に基づいて、T-1・T-2・T-3・T-4という4つの等級に分類されている指標のことです。防音ドアのT値は、ドアを閉めたときにどのくらい静かになるのかを示し、数字が大きいほど遮音性能が高く、数字が小さいほど遮音性能は低いことを表します。また、防音ドアの遮音性能を示す際に、JIS規格の等級(T1~T4)以上の性能のドアは、T-5・T-6といった等級で表す場合もあります。
T2~T4の等級別の用途は以下の通りです。
遮音等級 | 用途 |
T-4 | レコーディングスタジオ・ラジオ放送スタジオ |
T-3 | ピアノ教室・劇場・映画館 |
T-2 | 会議室・カラオケルーム |
T値は統一規格なので、前もっておおよその基準を知っておくと、防音ドアやサッシの遮音性能が分かるため、購入を検討する際に自分の用途に合ったものを選びやすいというメリットがあります。
L値とは
L値(floor impact sound Level)とは、日本工業規格(JIS)が定めた、床の遮音性能を表す指標のことです。上の階の床衝撃音が下の階でどの程度聞こえるのかが等級別に示されています。前述したDr値は「空気音」のレベルを表していますが、L値は個体を振動させることで音が伝わる「固体音」である床衝撃音のレベルを表す、といった違いがあるのです。
L値は、LH値とLL値の二種類に分類することができます。LH値は、重く鈍い音である重量床衝撃音(Heavy weight)、LL値は、軽く高い音である軽量床衝撃音(Light weight)を表す数値です。つまり、子どもが走り回ったり飛び跳ねたりしたときに発生する衝撃音がLH、軽いものを落としたときに発生する衝撃音がLL値、と分けられます。中でも、日本建築学会によって推奨されている住環境のL値等級はLH-50やLL-45程度です。
L値は、騒音問題でしばしば取り上げられる数値であるため、マンションの購入を検討している人は、どの等級でどのくらいの遮音性能があるのか把握しておきたいところです。