防音室を作る時、部屋の壁だけでなく扉の防音性能にも気を配らなければ、遮音効果を高めることはできません。
そんな時に気になるのが、引き戸(スライド)タイプと開き戸タイプ、どちらが向いているか、という点です。
結論から言うと、防音ドアには開き戸の扉がおすすめです。
とはいえ、どうしてそう言えるのか、理由も気になるのではないでしょうか?
今回の記事では、引き戸タイプと開き戸タイプ、それぞれのメリットやデメリットに加え、防音性能にどのような違いがあるのか、具体的な数値を出しながら詳しく解説していきます。
「実際使っているけれど、なんだかしっくりこない…」「これから取り付けたいけど、どれがいいか迷っている」そんな方の参考になれば幸いです。
防音ドアの開け方の種類
まずは、防音ドアの扉を開ける方法である引き戸と開き戸の概要と、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
引き戸
引き戸は、左右にスライドさせてドアを開閉する扉です。
このタイプのドアのメリットは、ドアを前後に開く必要がないので、狭いスペースでも広く扉を開けることができる点。
また、床との段差が少なく、力がなくても簡単に扉を開けられるため、高齢の方や障がいがある方も使用しやすい、バリアフリーな扉といえます。
一方で、ドアをスムーズにスライドさせるための隙間を確保する必要があり、防音の性能はあまり高くないのがデメリットといえるでしょう。
また、扉を引き込むスペースが必要なので、設置できるスペースは限られます。
壁の中に戸を収納するタイプでは、戸を収納する部分にはスイッチやコンセントは設置できないので注意しましょう。
生活音レベルの対策であれば引き戸でも有効かもしれませんが、音楽スタジオなど高いレベルの防音が必要な場所にはあまり向きません。
近年では、引き戸で防音性の高い商品も発売されていますが、開き戸に比べるとその種類は少ないです。
開き戸
開き戸は、取っ手を動かすことで扉を前後に開閉させる扉です。
そんな開き戸のメリットは、引き戸よりも簡単に音漏れを防ぐ加工ができる点です。
防音ドアは、ドアの枠についたパッキンを扉でつぶすことによって音の漏れを防ぎます。
開き戸は引き戸に比べ、パッキンをつぶすような形状にするのが容易なので、防音ドアとして採用されることが多いのです。
厚みがあって重い扉ほど防音性能が高くなるため、どの程度の音量を防ぎたいのかを考えて厚みや重さを決めましょう。
一方で、開き戸は扉を前後に動かすため、スペースに余裕がないと扉を広く開けられないというデメリットがあります。また、扉を開けるには体を大きく動かさなければならないため、高齢の方や障がいがある方が使用する扉には向きません。
防音室に開き戸を設置する場合には、扉を開閉できるスペースがあるかどうか、どのような人が使う場所なのか、事前にきっちりと確認する必要があります。
引き戸と開き戸で防音性能に違いがある
引き戸と開き戸には、異なるメリットやデメリットがあることをお伝えしましたが、防音性能的にも違いがあります。
一般的な引き戸で遮音できるのは、最低でも20dB(デシベル)ほどです。
テレビの音や日常会話が50~60dBで、静かに生活できるのが40~50dBと言われていますから、引き戸では少し役不足な面があります。
また、楽器の練習部屋やホームシアターなどでは、大きくなると100dB以上の音が出ます。
これらの用途で防音室を利用する場合には、50dB以上減音しなければならない、という訳です。
つまり、防音室の用途によっては一般的な引き戸タイプでは音を防ぐのに不十分ということになります。
開き戸の場合、構造的にも防音に向いているので、簡単な作りのもので30dB程度、プロ仕様のものであれば60dB近く減音可能です。
つまり、大きな音を出す部屋に防音ドアを置く場合には、開き戸タイプが向いています。
開き戸には、生活音を防ぐためのものからプロ仕様のものまで多くの種類があり、価格も大きく異なってきますので、用途や予算に合ったものを選びましょう。
防音性能を重視するなら、開き戸がおすすめ
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、引き戸と開き戸の違いについてご理解いただけたと思います。
より防音性能の高い防音ドアを求める方には、引き戸タイプはあまりおすすめではありません。
開き戸タイプを選択しましょう。
部屋を防音にしたいという方は、防音ドア販売の有限会社幸昭にぜひお気軽にご相談ください!